あらためて、自然農法とは?

最近では、「自然農法」「自然農」「自然栽培」といった名称を目にします。

どれも同じように「自然」がつくし、何が違うの?それぞれの定義はあるの?

人はあらゆることを意味づけし、カテゴライズしたくなる生き物ですからね、わたしも気になって調べてみました。

「慣行農法」「有機農法」「自然農法」の違い

「慣行農法」・・農薬を使用し、化成肥料を使用

「有機農法」・・米ぬかや油かすなどの植物性の堆肥、鶏糞や牛糞など動物性の堆肥を使用

「自然農法」「自然農」「自然栽培」・・どれも堆肥を入れないという点では同じです

ですが、「有機JAS」のような規格があって法的な定義づけされているわけではありません。

「堆肥を一切いれないのが、自然農法だろう」と思って実践している栽培者の方もいれば、

「え、オレ自然農法やってるけど、EM菌や米ぬかは自然のものだからOKだと思って入れてるよ」など、

実は個々の栽培者や農家さんによって少しずつ栽培方法に違いがでてくるんです。

そうなると、消費者にとっては、余計にわからなくなりますよね。

そこで、団体によっては独自のガイドラインや商標登録を設けられているところもあるんですね。

もう少し詳しく、違いをみていきましょう。

「自然農法」「自然農」「自然栽培」の違い

自然農法には2人の有名な提唱者がいます。今ある「自然」とつく名の栽培方法はすべて、ここを基本に派生していったようです。

1-1.自然農法の福岡正信さん

福岡正信

まるで仙人のような風貌のおじいちゃんです。

彼が提唱したのは、

不耕起(耕さない)、不除草(除草しない)、不施肥(肥料を与えない)、無農薬(農薬を使用しない)」の4原則を特徴とする農法です。

もはや、見た目だけではなく、やったことも神業なんです。

というのも、いろいろな種を混ぜ混ぜしてつくった粘土団子を、山や砂漠、あちこちにポンポンと放り投げて、自然に任せて勝手に育つのを待つ農法なんです!

究極的に、どこまで人間の手をかけないで栽培できるのかを長年かけて実験されたんです。

そして、自然に委ねる栽培方法がいちばんだと言うことを、立証したお方なんです。

なかなかできることではありませんよね?!

わたしは福岡正信さんの「わら一本の革命」という本に出逢い、大きな衝撃を受けました。

「すげーな、この人!」と涙しました。まさしく、人生を変えた一冊です。

ジブリの宮崎駿氏も、福岡正信氏を日本で一番偉い人と称賛しているといるという噂です。それくらいすごい本です。

ぜひ一度読んでみてください。

自然農法 わら一本の革命

1-2. 自然農法の岡田 茂吉さん

農薬や人糞肥料・化学肥料を⼀切使⽤しない」点では、福岡さんと同じです。

ただ本当にその土地任せになると、土地の土壌環境(地力)によっては、育てたい作物がまったく育たない、ってこともあるんです。

山や森などで実験できる広大な敷地を持っていればいいでしょうが、フツーの人は土地が限られていますよね。

かくゆう私もそうでした。。

はじめての家庭菜園で市民農園を借りました。そこで与えられた10坪ばかりの土地に、粘土団子をばらまくという発想は、さすがに突拍子もないことですよね。

それでも、はじめの1年間は福岡式の自然農法、「不耕起、不除草、不施肥、無農薬」の4原則を試しにやってみました。

結果・・・、ほとんど何も育ちませんでした。

もともとごみ処理施設に山砂をもってきた埋立地で、なんの有機物も入っていない土地だったんです。

はじめは虫1匹もいませんでしたよ。

そんな痩せ地でしたので、夏野菜のトマトやナスが大きくならず、あまりにも貧弱で、とても可哀想な状態でした。

なぜか、スイスチャードだけ元気に育ったことを覚えています。ある意味、福岡さんの言う通りだったんです!

本来ならばそこに育つものだけを有り難くいただけばいいのかも知れません・・・

ですが、翌年またトマトやナスが食べられないと思うと、

「そんな呑気に実験してる場合か!」

と、わたしもエゴには勝てませんでした。^^;

そこで、岡田式の流れを汲んだ、MOA自然農法を、千葉から伊豆まで1〜2年通い学んだのです。

その土地の環境や地力をみて、上手に手を加えていくこと、自然界の土壌と同じように生命力溢れる土を、どうやったら作り出していくことができるのか、その理論を教わりました。

MOAでは、枯れ草や藁などで作った「自然堆肥」還元すること、人力による除草、害虫防除はOKとされています。

2.自然農の川口由一さん

福岡さんの自然農法に4原則があるように、川口さんの自然農には3原則があります。

耕さず、持ち込まず、草や虫を敵としない」です。

必要な部分に手を加えるのが川口さんの「自然農」で、耕起、施肥、病害虫防除はしないが、人力による除草はOKとされています。

彼の生徒さんが書かれたという、「自然農・栽培の手引き」は、わたしも一冊お持ちしていますが、図解が多くとてもわかりやすいです。

自然農・栽培の手引き

3.自然栽培の木村秋則さん

「奇跡のリンゴ」で一躍有名になられましたよね。本の中に福岡正信さんの名が出てきて、嬉しくなりました。

自然栽培も、農薬はもちろんのこと、化学肥料・有機肥料など一切何も施しません。

自然界にある落ち葉や草などを利用して作った堆肥で土作りを行う農法です。

原則として人間を含む動物由来の堆肥(人糞や家畜糞を用いた堆肥)は使わないとしていましたが、畜産業による廃棄物の有効活用という観点から適切な処理で完熟醗酵させた堆肥のみ暫定的に使用を認めているようです。

あと、生産性を高める為に資材の活用と雑草管理や、害虫防除をするのをOKとされています。

福岡式との違いは、より商業的に近く、土を耕すことで積極的に草の管理を行われていることです。

奇跡のリンゴ 「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録

どれも真理は同じ、心の姿勢がいちばん大事!

様々な団体や呼称、そしてそれぞれのガイドラインがあるようですが、どれも基本的な考え方(心持ち)は同じなんじゃないかと思います。

その心の姿勢とは、

1. 自然を観察し、尊重し、自然に教わる謙虚さを持つこと

タネを蒔いたことがある方はわかるかも知れませんが、2-3mm程の小さなタネから芽や根が出てくるとき、それがどんどん成長して大きな野菜へと育っていくとき、神秘的な感覚を覚えることがありませんか?

「なぜ、あんな小さなタネから根や芽が出てくるんだろう?どこにそんな情報が入っていたんだろう?光合成、DNA、なんとなく理解できるけど・・タネそのものは誰がどうやって作り出しんだろう・・」

と、畑にいながらして、壮大な宇宙を感じる瞬間があるのです。^^

科学技術の発達のおかげで多くのことがわかるようになりましたが、自然の仕組みを全てを理解することは到底難しいですよね。

だから、謙虚な気持ちで、自然から教わる姿勢がとても大事なんです。

2. できるだけ有機物を利用し、永続的な農を続けること

謙虚な姿勢で観察していると、自然の大きな仕組みの中では、みんな役割を持っていることが見えてきます。

植物は太陽エネルギーから光合成をして、デンプンなどの有機物をつくります。これをエサにして、草食動物や昆虫などが生育します。

その動物や昆虫の糞や死骸、枯れた植物や落ち葉などを、ミミズやだんご虫などが食べ、細かくくだきます。

それが微生物によって分解され、植物に必要な栄養となります。

ミミズの糞で土に団粒構造ができ、土壌が豊かになっていく。

さらに多種多様な生命が生まれ、人間が何もしなくても豊かな山や森がつくられてくる。

このように自然とは、全てが調和されていて、半永久的に循環している仕組みなんです。

そして私たち人間も、この循環の中で生かされているんですね。

そのあたりが理解でき腑に落ちてくると、

「生態系を乱す化学肥料や・農薬(除草剤)を乱用することを避け、できるだけ有機物を利用し、この生物の循環を断ち切らないような農をしよう」

という心構えになります。それが永続的な農です。

3. 生物を介した循環で土の力を発揮させること

自然界はもともと人間が手を加えなくてもそのままで完璧なんです。

それにも関わらず、わたしたち人間は都合に合わせて草や微生物、昆虫を悪として考えます。

雑草や害虫、病原菌と呼んで排除しようとします。

ですが、虫や雑草、微生物も意味があってそこに発生しています。

その自然の摂理を理解して、土壌や作物にできるだけ人為的な手を加えないことが、いちばん土の力を発揮させることにつながります。

植物や動物を人間がじょうずに管理することで、生物を介した自然の循環機能を高め、自然からの豊かな恵みを享受することができるのです。

ですが、このできるだけ手を出さないっていのうが、なかなか人間にとっては難しいことのようです。笑

ただ注意が必要なのは、米ぬかを入れるのか入れないのかとか、害虫防除のために虫よけ資材を使うのか使わないのかといった話ではないということです。

全ての生き物の役割を認め、植物や微生物などの声なきものの声を聞き、その働きを引き出そうとする姿勢こそが、最も大事なことなんですね。

オンブバッタと草むら
オンブバッタと草むら/イラスト:やぐちゆみこ

わたしの自然農法の師がYoutubeをはじめました!

ぜひご視聴なさってみてください。

ふぁーちょ(土が生む生命の力)